メリュジーヌ(メルジーネ)の物語は有名だ。「見るなのタブー」の典型例である。



このメリュジーヌ物語には、「見るなのタブー」とは別に、もうひとつ重要なモチーフがある。適当なリンク先がない(物語要素事典には多少書いてあるが)ので、自分が昔読んだ物語をご紹介。記憶だよりなので細かい点は違っているかも。

貧乏貴族のレイモンは、メリュジーヌと結婚したいのだが、一緒に住むべき家も土地もない。そこでメリュジーヌ(なにせ蛇だから頭がいいw)が知恵を授ける。「伯父さんに、『鹿の皮一枚分だけ土地をください』と頼みなさい」と。伯父さんは広大な土地を持っているので、「鹿の皮一枚分ならいいよ」と答えてくれる。するとメリュジーヌは、鹿の皮を細く切り一本の紐にして、その紐で囲えるだけの土地を手に入れた。


詐欺みたいな話ではある。よくて「とんち話」だ。しかしこの「皮一枚分の土地」というモチーフも世界中の民話や伝説で語られているらしい。論文(pdfなので注意)もある。

東アジアにおける「牛の皮一枚の土地」(AT2000)伝説の展開

この論文の執筆者は気づいていないようだが、実は似たような話が、「三嶋大社」の由来にもある。Wikipediaから引用。

現在地には元々若宮八幡があったが、三島明神が若宮八幡に「藁一把分の土地を譲ってくれ」と言い、若宮八幡がそれくらいならと了承すると、三島明神は藁の束を解いて輪にし、若宮八幡の広大な敷地を囲んで占有してしまったという伝承がある。


「皮一枚(革一枚)」ではなく「藁一把(一束)」というのが日本的だが、構造はまるっきり一緒だ。「藁一把」でぐぐったらこんなページも見つかった。これも同じ話だ・・・

船越八幡神社