青空文庫で「濹東綺譚」を読んでいたら、面白い記述が見つかった。

「この辺は井戸か水道か。」とわたくしは茶を飲む前に何気なく尋ねた。井戸の水だと答えたら、茶は飲む振りをして置く用意である。
 わたくしは花柳病よりも寧チブスのような伝染病を恐れている。肉体的よりも夙くから精神的廢人になったわたくしの身には、花柳病の如き病勢の緩慢なものは、老後の今日、さして気にはならない。

まだエイズがない時代だから、「花柳病」とは梅毒のことだろう。梅毒も感染してからヤバくなるまでには相当時間がかかる。どうせ先があまりない老人が恐れてもしかたない。なるほどね・・・ もっともそもそも「ヤラなければ」絶対大丈夫なのにこう書いているということは、永井荷風先生はお元気らしいw

梅毒はともかく、私も放射能はあまり怖くない。理由は同じ。年寄りにはどうせ関係ない。癌になる可能性が数%、いや50%増えたとしても誤差範囲だ。それより経済クラッシュが心配だが、世の中の多くの人が、「経済なんていくら悪化してもいいから原発がなくなってほしい」と思ってるようだ。まあ若い人たちがそう望むなら年寄りがどうこう言っても始まらないか・・・

濹東綺譚って映画にもなってるんだ。今度見てみよう。